コンクールの見られ方徹底解説

YGP2024日本予選を観た個人的な感想や意見です。あくまでも個人的な意見なので悪しからず。

久々にコンクールをしっかりと観たので、ここ数年でのレベルの上がり方に驚きました。

でもやっぱり見られている部分はいつも同じかなと。

みなさまの今後のレベルアップに何か役に立てれば幸いです。

プリコンペティティブ部門

とにかくレベルが高い。というか、踊り上手。

おそらくバレエシューズだからこそここまでできるのかなと。

表現というか、自分を「魅せる」ということがこの近年でレベルが上がった。

どの子も上手に見えるのはそこかなと思いました。

でも、それをトウシューズを履いてできるかというと…

ちょっと疑問も残ったし、過剰にそっちにばかり比重がある人は

やっぱり結果は伴っていなかったかなと。

やっぱり審査員は基礎を見てます。

歩き方、走り方

まず、審査員は出てくるときの歩き方を見ます。

しっかりと歩けていたらしっかりと踊りも見ます。

そうでなければ流し見をするらしいです。(聞いた話ですが…)

何百人の踊りをすべて全力で見るのは限界があります。

だからこそ出の歩き方や走り方は一番重要なポイント。

腰を高く上げてレッスンした身体ができていれば

歩いた時のブレは少なくなります。

つま先から頭まできれいな歩き方や走り方ができていない子は踊りもそこまででした。

猫背にならない

意外と多かったのが、ふとした瞬間に猫背になる子。

立つ前のプレパレーションの時など本当にふとした瞬間だけど

審査員は見逃していないよね。

そーゆー子は幕内で待っている時も猫背に抜けていることが多かったです。

背中の意識ってとっても重要だと思うけど

日常生活で猫背になっている時間とバレエの時間を比べたら

きっと猫背になっている時間って長いと思う。

それでもバレエの時はしっかりと背中を使えるようになっていないと

レッスンもできていないとみなされてしまうよね。

軸足の強さ

これすっごく大事だと思った!

例えば、アラベスクになった脚をおろすときに、軸足はルルべに立ったままアラベスクの足をおろしてこれるか。

要するに、軸足のかかとが先に床についてしまってからアラベスクの脚が降りてくるか

アラベスクの脚が降りてくるまで軸足はルルべでキープできるか。

文字にすると分かりづらくて申し訳ない…

結局トウシューズになったときに軸足が強く立ってキープできないと

ガクンって落ちちゃいますよね。

そうならないようにバレエシューズからトレーニングできているか。

バレエシューズを履いていてもトウシューズで立つ準備ができているかは

とても見られているなと思いました。

つま先の伸ばし方、使い方

甲がきちんと伸ばせていない子はやはり予選通過できません。

バレエシューズだからこそなんとなく踊れているけれど、

トウシューズではそうではいかないですよね。

つま先もきれいな子が本当に増えたと思います。

また、ただつま先がキレイなだけでなく、そのつま先を「見せる」

丁寧な足さばきでつま先を目立たせることができる子は

やっぱり上手に見えますよね。

ピケで立つ前の足の出し方まで丁寧にできている子はほぼ予選通過していました。

メリハリの付け方

踊ることに精いっぱいで淡々と踊ってしまう子の踊りよりも

ポーズを見せて次のパを少し小さくするなどの工夫をしている子は

上手に見えますよね。

この辺は指導者の手腕な部分かもしれません。

音の取り方も単調でなく、見ていて飽きない踊りかつ

見せたい部分はしっかりと印象に残るので

大人数の中でもきちんと覚えられるのではないかなと思いました。

プリコンペティティブ部門 総括

自分で個性を出していくことがまだ少し難しい年齢。

できないわけではないからこそ日ごろの先生の指導力が試される気もしました。

しっかりとレッスンで基礎を叩き込めているか。

完璧である必要はないけれど、やろうとしているかどうかは見ればわかります。

うわべだけ、足元だけでごまかそうとしているのも一目瞭然です。

あとはバレエが楽しい!!という気持ちをしっかりと出せるか。

言われたからこうしてます。という踊りと

ダンサーの感情が乗っている踊りはやっぱり見ていて違いますよね。

見ているこちらの気持ちが動くのはやはりダンサーの感情が見える踊りだなと思いました。

上位入賞者の踊りってきれいなだけでなくもっと見たい!と思いますよね。

ジュニアになるとそれがさらに求められます。

踊りを細かく見れば予選落ちの子にはそれなりの理由が見られましたが、

家事をしながら流し見をしていると本当にみんな上手に見えたのには驚きでした。

ジュニア部門

ジュニアはよりレベルが高かったです。

ただ、もちろん実力差も開いてきているので

ちょっと踊りを観ただけでも予選通過かどうかの判断ができる子は

プリコン部門よりも多かった印象もありました。

あとはやっぱりスタイルは見られますよね…

悲しいけれどこれも現実。

技術的にはまだでもスタイルの良い子は残ってますよね。

特に外国の審査員のコンクールはシビアな印象もありますが

今回はまさにそれに当てはまっているなと思いました。

私がこの時代に出ていたら、スタイルだけで落とされていたな…

トウシューズ

ジュニア部門になり、トウシューズを履くようになったため

番号の若い子は特にトウシューズの立ち方をしっかりと見られていると感じました。

というのも、バレエシューズでも出場可なのにトウシューズでまだうまく立てないのに

あえてトウシューズで出場しているのってどうなの?と私でも感じたので…。

その分審査は公平なの?とも思ってしまいましたが…

予選落ちした子に多かったのが、甲の部分よりも指の付け根の部分が折れて立っている子。

そもそも、床を押して身体を引き上げて立つというバレエの基礎ができていない立ち方なので

立ち方を見ただけで予選結果は見えてきますよね。

この立ち方でコンクールに出す指導者って…とも思ってしまいましたが。

おそらくYGPなので他のコンクールやプリコンよりも立てている子が多いと思いますが

それでも特にトウシューズの立ち方には注目されている分厳しめに見られたのでは?

ドゥミポワント

トウシューズに関連して、トウシューズの降り方について。

トウシューズで片足で立って、降りるときにはドゥミポワントを通りますよね。

(バレエシューズのルルべの形=ドゥミポワント)

これができずにすぐにかかとがついてしまう子も落ちていた印象です。

トウシューズの基礎的な部分だし、踊りも雑に見えますよね。

でもこれもしっかりとレッスンをしていたら当たり前にできているべきこと。

これができずにVaを踊っているのってどうなの…?

Vaを踊ることよりも大切なことだと私は思っています。

つま先

トウシューズが合っていないのかそもそも伸びていないのか…

床から離れた足のつま先が抜けている子意外といました。

トウシューズが合っていないと伸びていても板が足裏と一緒に使えないため、伸びて見えていない可能性もありますよね。

きれいに脚が上がっているのにつま先は伸びて見えない。

そんな子も多かったです。

トウシューズで立った時につま先を伸ばせるのは体重がかかっているので当たり前ですよね。

でも、空中で自分でつま先を伸ばせない(伸びて見えない)のは大問題です。

膝が横に向いていない

足首だけでアンドゥオールに見せようとしている典型的なパターン。

つま先の向きと膝の向きが違いすぎる子はよくいますよね。

でもロマンティックチュチュを着ていると目立たなかったりもします。

脚のラインに自信がない子はロマンティックチュチュのほうが点数上がると思う。

結局審査員がどこまで見ているのかはわからないけど、

身体のためには絶対にやめた方が良い。

ちゃんとトレーニングすれば筋肉ついてくるから正しいやり方を学ぼう!

コンクールでよく見せたいからVaになると特にかかと前!って注意されがちだよね。

背中が使えていない

走り込むときやふとした瞬間に背中が使えていない子は予選落ちしていました。

背中を意識することは基本中の基本ですよね。

レッスンでやっているはずなのに踊りで抜けてしまうのでしょうか?

おそらくレッスンでも平気で抜けているのだと思います。

また、身体の向きを変えるときに背中が使えている子は評価が良かったです。

例えば回転ものでも背中を意識するだけで回れるようになることも。

意外と盲点なのが背中なので、もう一度背中の使い方も研究してみましょう。

背中をうまく使えると踊りも大きく見せられますよ!

身体のコントロール

ジュニアになるとさらに求められるのがこれかなと。

着地の時のプリエやバランスのとり方といった

目立たないけど大事なテクニック。

これができるかどうかが次の見栄えの良い踊りができるかにつながってきます。

自分が思うところまでバランスをとったり、

いつ着地したかわからないような上手なプリエを使えたり…

細かなテクニックが使えるようになると表現の幅が広がります。

普段のレッスンでも音と遊ぶような踊りができるようになるし、レッスン審査でも目立てるよ!

見栄えのある踊り

見栄えのある、メリハリのある、見せ場のある、強弱のある…

どんなタイトルにしようか迷いましたが、止まるときには止まって魅せるができる踊りのことです。

踊りを言葉にするって難しいよね…

もちろん曲や役柄によってパキパキとした止まり方ではないけれど、

それでも見せたいポーズで写真はしっかり撮れるはず。

見せたいポーズではブレない写真が何百枚も撮れるくらいしっかり止まって

そのあとの小さいつなぎのステップは正確にでも短く小さくすることがコツ。

そのためにはまず自分の身体を思うように動かせることが必要だよね。

プレゼンテーション

つまり表現です。そこに客を踊りに引き込むという要素も入れてお話しします。

役の表現をするのは当たり前ですよね。

そこにさらに「もっとこの子の踊りを観たい」と思わせることができる子が

上位入賞しています。

この辺になると文字にはできなくなってきます…

持論ですが、バレエは身体表現なので自分の感情を踊りにいかに乗せられるかはとても重要です。

自分の踊りに観客を引き込むことができるのは、踊りに感情が乗っていて、その感情に観客が引き込まれていくからだと思います。

つまり、心からバレエが好きということが相手に伝わる踊りは点数がつきやすいですよね。

もちろん技術点ではなく表現点になります!

条件も良くて踊れているのに結果がついてこないという人は

もっとこの表現について研究してみると良いかもしれません。

スタイルの良さ

これは、書いていて悲しくなるけれど事実でした。

今回は審査員も外国人の先生方ばかりだったのもあり、余計そうだったかもしれません。

やっぱり顔が小さくて手足が長い子は予選通過しやすそうでしたね…。

書きたくないけどこれが現実なんですよね…

じゃあスタイルに自信がない人はどうしたらいいの?ということですが、

まずは最低限「脚のライン」はきれいにしていきましょう。

反張膝である必要はありません。

でもやっぱり太ももやふくらはぎが太すぎるのはそれだけで点数に影響してしまいそうです…。

何度も言っているけど、アンドゥオールが正しくできなきゃ脚のラインはきれいにならないよ!

ジュニア部門 総括

予選通過もさらに厳しいジュニア部門。

いろんな子の踊りを観ましたが、正直予選通過者と落選者の違いが分からないことも…。

最後に書こうと思いますが、ワークショップであらかじめ顔を知っているときっと違いますよね。

そう思ってしまう結果があるように見えたのは事実。

とにかくレベルが高いので、基礎力のアップはもちろん

もっとアピール、表現する力を持っていないと厳しいかなと思いました。

きっと日本人にとっての苦手分野…。

おそらくワークショップ等で印象に残っている子の名前は控えていたと思うので

踊りだけでなくレッスンもしっかりできてなおかつ目立つ。

そんな子が上位に入ってきたのかなと思いました。

シニア部門

シニアの予選はVaすら踊らせてもらえません。

でもこれすっごくいい審査方法だなと思っています。

本当なら当日に振りをもらってすぐに踊るくらいのほうがいいと思いますが…

踊りを作る力が試されるなと感じました。

でもせっかく練習してきて衣装も持ってきたVaを全く踊れないのは

ちょっとかわいそうですよね…

今回は主に予選審査について触れていきます。

踊りを作る力

Vaなら役の背景があったりいろんな人が踊ってきた動画があったり、

参考にできるものがたくさんあります。

でも、この予選の踊りには何もありません。

振り付け以外で印象に残すためには踊り方に工夫が必要!

前にも述べたように、メリハリのある見栄えのある踊り方が普段からできる子は

やはり良い印象が残りますよね。

結局は踊りだけできてもダメってこと。

自分らしい踊りが何かを持っている子は強いですよね。

動きが小さい

Vaだとそこまで気にならないのですが、

足を出した位置に立たず、もっと自分のほうに引いた位置に立つ子がとても目立ちました。

長い脚をもっているのに生かしきれずにもったいない…

おそらく普段のレッスンからこのように踊っているのでしょう。

(稽古場の大きさも様々ですし…)

なので先生も特に疑問に思わないのかもしれませんが、舞台上だと目立ちますよね。

稽古場の大きさ関係なく脚の使い方は変わらないので指導者の方も気を付けてあげてください。

貧相にならない

予選は衣装ではなく、レオタードに白いボンチュチュのみ。

Vaではきらびやかな衣装を着てしまっているので隠れていますが、

衣装がなくなったとたん踊りが貧相になってしまう子もいますよね。

上半身(胸周り)の使い方をもっと研究していきましょう。

反対にレオタードでも貧相に見えない子は

胸周りの使い方はもちろん、表情や間の取り方などが上手でしたね。

この辺も日ごろのレッスンからいかに自分の踊りにできているかが重要かなと思います。

シニア部門 総括

プロになったら求められるのはVaを踊ることではありません。

どんな踊りにも適応する力が必要になってきますよね。

そういった意味においてもこの審査方法はとてもいいなと感じました。

衣装を着けさせないという点においても本当の実力が見えていいですよね。

そして、プリコン部門、ジュニア部門と見てきて、やはりシニアは大人っぽさも求められているように感じました。

今回番号の若い子が多く入賞していましたが、年齢が上がるにつれてすでに留学している子も増えるためかなぁと感じています。

おそらく審査は年齢も考慮されていると思います。

シニア部門ともなるとプロとして通用するかという目線でも審査されると思いますが、

太りやすいお年頃ということもあり、体型も見られていたのだろうなと感じました。

YGP2024日本予選 総括

長々と書いてきましたが、もっと書けることはありそうでした。

でも、この記事をしっかり読んで、審査員がどのような点に注目してみているかを学び、今後に生かしていただければ幸いです。

いくらでも見ていられる自分にも驚きました…。

最後に書くと途中で言っていましたが…

このコンクールは開催前からワークショップがあったり、

審査員の先生を稽古場に読んでワークショップをしてもらうお教室があったりと

本当に公平なの?と疑いたくなってしまうことも多々あります。

これは昔からだったので…審査員もお小遣い稼ぎしたいですよね。

結果に?と思ってしまう時は有名なお教室の子だったなんてことがないわけではないですが

それも含めての結果です。

つまり、結果にこだわっても仕方がないということ。

よく言っていますが、結果を目標にするのはおすすめしません。

結果は後からついてくるもの。それを求めてはいけないよ。と

コンクールに出ていた当時、よく親に言われていました。

まさにその通りですよね。

結果に振り回されるよりも自分の成長を大切にしましょう。

最後になりましたが、長々とここまで読んでくださりありがとうございました。

みなさんのこれからのバレエ人生の支えに

ほんの少しでもなれていたら幸いです。